昨晩、仏マクロン政権に対する不信任案が採決された。国民の間からの不評をかっている年金法案は定年の年齢を原稿の62歳から64歳に引き上げるものであり、同法案を巡っては激しい抗議活動が起き警察とデモ参加者が衝突した結果、逮捕者も出ている。同法案をフランス政府が撤回するように労働組合がストライキで対抗するなど激しい抵抗にあっていた。マクロン政権は同法案が否決されることを見越し、不信任案が提出されない限り採決無しで法案が成立すると定めた憲法49条3項の適用を決定した。当該条項はその性質上、最終手段かつある種非民主的とみなされており、抗議活動がフランス全土で勃発した。 不信任案が僅差で否決されたため、年金改革法案は成立し、定年退職が62歳から64歳に引き上げられたことで高齢化が進むことによる年金システムへのダメージを抑えることになる。マクロン政権はこれまでにも憲法の規定を適用しており、そのたびに支持率が下がっている。そのため、ヨーロッパ第2位の国で政治的に不安定となると見られ、それはユーロにも影響するであろうと見られる。
ラガルドECB総裁は「不確実性が増す中では利上げ決定にはデータに基づいたアプローチが必要である」と述べたと報道されている。FEDが用いたレトリックと同じで、ECBもデータを重視し、将来の利上げについて不確実性を増していくと見られる。それに加え、ECB内でもタカ派として知られるホルツマン委員は今後3回の利上げとしていた自身の考えを取り下げたため、ECB内のハト派的スタンスをより強めた。一方で、ECB委員のカザークスはECBは利上げ停止を考えていないと示唆した。総じて、ECB内のタカ派スタンスが落ち着いたとは見えず、ECB内のパワーバランスがユーロに影響を与えうる慎重なアプローチに切り替わったとも思えない。
今朝のアジア時間に発表されたオーストラリア準備銀行の議事録に注目したい。議事録では「次回の会議において利上げ停止を再考することで合意した」とあり、これは高金利の影響が感じられていることを意味している。それだけでなく、この文言はオーストラリア・ドルが安くなる理由になるであろう。最後に、昨日中国の習近平国家主席とロシアのプーチン大統領が会談し、BBCによれば、「我々は常に交渉できる用意がある」と述べたと報道されている。これはロシアが国際的な制裁の影響を感じていると見られ、ウクライナでの戦争を早く終わらせたいとする意思表示とも見られる。会合は国際関係における緊張状態を緩和し、それはオーストラリア・ドルをサポートするであろう。
その他の注目材料
ヨーロッパ時間では独ZEW3月景況感指数および現況が発表され、ラガルドECB総裁の録画済みパネルディスカッション、キャンプおよびエンリアの会見が午後に予定されている。アメリカ時間ではIMFのジョルジバスが会見を行い、米2月既設住宅販売数および週次API原油在庫量、およびカナダの2月コアCPI(前年比および前月比)ならびに1月小売売上高が発表される。更にニュージーランドの3月乳製品オークション統計も発表される予定。
USD/JPY 4時間チャート

Support: 130.40 (S1), 128.90 (S2), 127.05 (S3)
Resistance: 134.65 (R1), 137.55 (R2), 139.45 (R3)
GBP/USD 4時間チャート

Support: 1.2040 (S1), 1.1945 (S2), 1.1860 (S3)
Resistance: 1.2300 (R1),1.2395 (R2), 1.2480 (R3)



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