昨日、米ドルは他の通貨に対して上昇した。例外は、銀行危機が進行していることから、米ドルよりも安全資産の資金が流入する傾向があった日本円である。 2月の小売売上高が予想以上に減少し、米国の平均的な消費者が米国経済でより多くの支出をする気がない、またはできないことを相対的に示しているにもかかわらず、米ドルが上昇したことに留意する必要がある。 小売売上高の伸び率が縮小したにもかかわらず米ドルが上昇したことは、市場がいかに銀行セクターの危機、特にクレディスイスに注目していたかを示すものである。 クレディスイスの株価は昨日25%以上下落し、ドイツ銀行やUBSなど他の欧州の銀行も昨日はかなりの圧力を受けたが、今日は安定化の兆しがあるようで、スイス国立銀行がクレディスイスに提供した支援を考えると、市場は多少落ち着き、欧州の銀行はより悪い結果を免れることができるかも知れないと指摘された。
欧州の銀行危機が展開される中、ECBは本日中に利上げを決定しなければならないが、市場の期待は分かれているようだ。 特徴的なのは、ユーロ OISが示唆する25bpの利上げ確率が現在53%近くであるのに対し、それ以外は50bpの利上げも可能であると示唆し、市場予想の分裂を際立たせている点だ。 なお、銀行は事前の会合で、ユーロ圏のインフレ圧力を抑制する決意から、本日の会合で50bpの利上げを行う可能性を強く示唆し、市場も先週までそのようなシナリオを強く織り込んでいた。 ドイツ、フランス、スペインなどユーロ圏の主要国の消費者物価指数が2月の速報値で加速したことは、ユーロ圏のインフレ圧力が依然として強いことを強調し、実際に50bpの利上げに踏み切らざるを得ないような状況になっているようだ。
一方、欧州の銀行危機がもたらす大きな不確実性を考慮し、銀行は25bpの利上げに踏み切るかもしれない。 しかし、いずれのシナリオにおいても、金融環境の不確実性が大きく、ユーロ安をもたらすことから、ECBはフォワードガイダンスを変更し、タカ派的な姿勢をやや緩和すると予想される。また、ラガルドECB総裁がこの後記者会見を行うため、ユーロのボラティリティが発表時間を超えて拡大することに注意したい。
その他の注目材料
本日の欧州時間では、ノルウェーの1月GDPの発表に注目し、米国時間では、米国の2月建築許可件数と住宅着工件数、週間新規失業保険申請件数と3月フィリー連銀景況指数の発表に注目する。明日のアジア時間では、主要な金融指標の発表が予定されていないため、より緩やかな展開となることが予想される。
EUR/USD 4時間チャート

Support: 1.0530 (S1), 1.0430 (S2), 1.0290 (S3)
Resistance: 1.0695 (R1), 1.0855 (R2), 1.1000 (R3)
USD/CHF 4時間チャート

Support: 0.9260 (S1), 0.9160 (S2), 0.9070 (S3)
Resistance: 0.9340 (R1), 0.9440 (R2), 0.9540 (R3)



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