
前回のレポート以降、金相場は強気筋(ブル)が主導しており、FRBに対するハト派的な見方が金価格を支える主要因となっています。
また、米ドルと金(XAUUSD)価格の逆相関が再び機能しているかどうかを確認し、最後に日足チャートを用いたテクニカル分析で締めくくります。
米ドルと金価格の逆相関が再び活性化
米ドルと金価格の逆相関は常に金取引参加者の頭の片隅にありました。
先週までは金とドル指数の相対的な安定が続き、両者の逆相関が有効かどうか判断がつきにくい状況でした。
しかし昨日から本日のアジア・欧州時間にかけて、金は新たな史上最高値を更新する一方、ドル指数は下落しており、両者が逆方向に動いていることが確認できます。
これは「FOMCの利上げ決定を前に、逆相関が再び機能している」と市場関係者が解釈する材料となりました。
したがって、ドルがさらに弱まれば金は一段高となる可能性があり、逆にドルが反発すれば金価格の重石になるでしょう。
さらに米国債利回りは安定しているものの、比較的低水準での安定にとどまっており、金の魅力を高める要因となっています。
FOMC政策金利決定に注目
今週の金市場にとって最大のイベントは、明日発表されるFOMCの利下げ決定です。
市場では「据え置き」がほぼ確実視されており、FFFはその確率を97.4%と織り込んでいます。
ただし同時に、市場は年内にあと2回(10月と12月)の利下げを予想しています。
仮に市場予想どおり 0.25%の利下げ が実施されれば、注目は「フォワードガイダンス」に移ります。
その要素は以下の3点です:
態度が慎重、あるいはインフレ圧力を過度に強調して雇用悪化を軽視すれば金にマイナス。
声明文
今後さらに利下げを進める姿勢が示されれば金価格を支援。
逆に消極的なら、市場のハト派期待が後退し金にマイナス。
ドットチャート
2025~2027年や長期の金利見通しを示す。
10月または12月に「2回の利下げ」を示唆すれば市場期待は強まり金を大きく押し上げる可能性。
逆に「年内あと1回のみ」となれば金価格は下落し得る。
パウエル議長の会見
過去にも市場の雰囲気を大きく変えてきた。
追加緩和に前向きなら金を支援。
テクニカル分析

サポート:3675 (S1), 3575 (S2), 3450 (S3)
レジスタンス:3850 (R1), 4000 (R2), 4200 (R3)
今週のXAUUSDのテクニカル分析では、金価格は 3675ドル(S1)を上抜け、同水準はサポートへ転換しました。
これにより新たな史上最高値を更新しており、8月22日以来の上昇トレンドラインも一段切り上がった形となります。
- RSIは70超で上昇中 → 強い強気相場を示すが、買われすぎ警戒も必要。
- 金は今月初めから「買われすぎ圏」に滞在しているが、修正安が出ていない。
- ボリンジャーバンド上限との距離を見ても、さらなる上昇余地が残されている可能性。
シナリオ:
弱気筋が台頭 → 3675ドル(S1)割れ → トレンドライン割れ → 3575(S2)、さらには3450(S3) まで下落の可能性。
強気筋が優勢を維持 → 3800ドル(R1) を試す展開。
IronFX上級リサーチアナリスト
ピーター・ヨシフ
公認会計士(ACA)、ICAEW会員